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渋谷のランウェイで、筆をとる。『SHIBUYA FASHION WEEK 2026秋』Relight the Writeレポート

2026年10月18日(日)、渋谷 文化村通りで開催された『SHIBUYA FASHION WEEK 2026秋』。日本習字は、メインプログラムのランウェイショー『SHIBUYA RUNWAY』で、書道とファッションのコラボレーション企画を実施しました。
ダンサー・コレオグラファーのyurinasia(ユリナジア)による書道パフォーマンス。ステージを終えたばかりのインタビュー。そして、ランウェイのレッドカーペットで開いた書道体験会。渋谷の路上で筆をとった一日の様子をお届けします。
執筆:服部桃子、撮影:こまつこうへい、編集:丸田武史
渋谷の路上が、ランウェイになる日
「Relight the Write(リライト・ザ・ライト)」は、手で文字を書く機会が少なくなったいま、あらためて「書くこと」や書道の価値を、もっと多くの人と一緒に考えたい。そうした想いから始まったプロジェクト。これまで、フジロック、パンと音楽とアンティーク、ヨガフェスタ横浜と、さまざまな場所へ出向き、書道体験ブースを出展してきました。

4回目となる舞台は、『SHIBUYA FASHION WEEK(渋谷ファッションウィーク)』。2014年に始まり、渋谷駅周辺の大型商業施設が中心となり、渋谷ならではのカルチャーを発信するファッションイベントで、今秋で26回目を迎えました。渋谷音楽祭との連携や各施設での関連イベントもあり、渋谷の街全体が舞台に。その中心が、10月18日(日)に文化村通りで行われたランウェイ。当日は道路が交通規制され、約60メートルにわたってレッドカーペットが敷かれました。

日本習字が参加したのは、ランウェイ第2部の「THE WRITE STYLE」。書道を、衣装に墨を入れるという形でファッションと掛け合わせ、渋谷の路上で見せる試み。普段は書道に触れる機会の少ない人たちが行き交う渋谷の路上で、書道はどんなふうに受け取られるのか。そんな期待を胸に、この日を迎えました。

“日本習字×yurinasia” 白い衣装に、墨を入れる

当日のランウェイは、14時にスタート。3部構成で、それぞれ異なる顔ぶれとのコラボレーションが披露されました。
第1部「THE BATON」:モード学園の学生とのショー
第2部「THE WRITE STYLE」:日本習字との書道コラボレーション
第3部「THE ECHO」:ブランド「RE.」とのショー
幕開けの第1部は、モード学園の学生とコラボレーションしたファッションショー。「SUSTAINABLE」をテーマに作られた服を身にまとったモデルが、ランウェイを颯爽と歩きます。

続いて、第2部の幕が開きます。2.1メートル四方の真っ白なパネルの前に、ダンサーのyurinasiaが登場。ダンスを交えながら、大きな筆で全身を使い、パネルいっぱいに「ENKAN」の文字を書き上げました。

「ENKAN(円環)」とは、今回のSHIBUYA FASHION WEEKのコンセプト「渋谷的ENKAN-THE SHIBUYA ENKAN-」にちなんだ言葉。人とカルチャーが行き交い、何度も生まれ変わってきた渋谷では、終わったはずのものが新しい価値をまとって戻ってくる。別々のカルチャーが出合い、ひとつの「環」になる。そんな世界観のなかで、長く受け継がれてきた書道が、ファッションやダンスと出合う、第2部のステージでした。

パフォーマンスに続いて、10人のモデルが1人ずつランウェイへ。うち9ルックは、白を基調とした衣装に墨でペイントが施されたもの。そして最後のモデルは、何も書かれていない真っ白な衣装で登場。モデルがカメラの前まで歩み出ると、yurinasiaが踊りながらその場へ向かい、衣装に墨を入れて最後の一着が完成。10ルックがランウェイに並び、第2部のフィナーレを迎えました。

続く第3部は、仲里依紗さんがブランドプロデューサーを務める「RE.」とのコラボレーション。「一度あったことがもう一度繰り返される」というブランドコンセプトのもと、12ルックがランウェイを歩きました。フィナーレには、ブランドプロデューサーとして仲さんが妹のれいなさんとともに登場し、会場は一番の熱気に包まれました。

大人数の前で、今までで一番集中できた
渋谷の路上でパワフルなダンスと書道を披露してくれたyurinasia。ステージを終えた控室で、お話を伺いました。
──パフォーマンスを終えて、率直にいかがでしたか。
yurinasia:まず自分のダンスに書道を取り入れたのは、初めてでした。書く前に精神統一ができて、そこからのパフォーマンスは、いつもより洗練されていた気がします。大人数の前で踊ることはたくさんありましたけど、今までで一番集中できたというか。

私は普段から、楽曲をつくった人たちが大事にしたいことを、自分なりに受け取って、表現することを大切にしています。ただ今回は、「好きにやっちゃって」という感じでしたので、書道を広めたいという人たちの気持ちを受け取って踊りました。
──普段のステージとは、どんなところが違いましたか。
yurinasia:いつもは景色や観客の顔を見ながら、だんだんと集中していくんです。集中に入るスイッチのようなものがあって。でも書道は、自分自身と向き合わないと書けないものなので、今日はそこに入るスピードがすごく早かった。筆をとった瞬間から、不思議な感覚でした。これは、書道のパワーなのかな、って。
──ちなみに書道とダンス、ファッションの組み合わせを聞いたとき、どう思いましたか。
yurinasia:実は違和感はまったくなくて、私としては自然なことだなと。書くことは、頭の中で想像していたものをかたちにする身体表現だと思うので、ダンスと共通する点が多くあるように思います。
──yurinasiaさんは、学生時代に書道をされていたと伺いました。
yurinasia:高校3年生のときの3か月ほどです。もともと絵も文字を書くことも好きで、芸術系の大学に行きたいと思ったんですけど、芸術の実績がなくて。先生に相談したら「書道部に入ってみれば」と言われたんです。入ってすぐの下っ端だったのに、「書の甲子園がもうすぐあるから、書いてみないか」と。書いてみたら、私だけ入賞してしまって。

いまも自分でロゴのデザインをすることがあるんですけど、書道はそれに近い感覚です。パッと遠くから見たときの印象を、頭の中でイメージしながら書くところが近いですね。
「これでいいんだ」と思えた、渋谷での一筆
──これまで、書道にはどんなイメージを持っていましたか。
yurinasia:覚悟がないと書けない、簡単に書いちゃダメなものというイメージがありました。お正月の書き初めのように、真剣に向き合う神聖なものというか。

──今日、大勢の前で書いてみて、どうでしたか?
yurinasia:めちゃくちゃ変わりました。前日まではすごく緊張していたんですが、せっかくなら全力で楽しもうと思って。結果、楽しすぎて、いろんな文字を書きたくなりました(笑)。あと、「これでいいんだ」という感覚にもなりましたね。

──ちなみに踊っているとき、頭の中ではどんな感覚なのでしょうか。
yurinasia:私は踊るとき、おでこのあたりにモニターがあるような感覚なんです。波形のような、なんとも言えないものがそこに映っていて、それを見ながら踊っている。車を運転しているとき、考え事をしていても信号ではちゃんと止まっていて、でも実は違うものを見ていることってありますよね。あの感じです。

──書いているときも、同じ感覚でしたか。
yurinasia:書道も、まったく同じでした。頭の中にある、言葉では伝えられないものを、人の目に見えるものにする。それがダンスであり、書道でもあるんだと思います。背中がかゆかったらかくように、ごく自然に。今日はそれをみんなの前に出せたのが、すごく気持ちよかったです。

──では今回のようなイベントを通じて、ダンスやファッションと並んだ書道は、yurinasiaさんには、どう見えましたか?
yurinasia:書道って、文字だけじゃなくて、線の動きや勢いにも個性が出ると思うんです。ファッションと組み合わせることで、また違った見え方が生まれる。学校では形式ばって教えられるけど、大人になって書道セットを開いてみると、こんなに自由だったっけ、と感じるはず。だから一家に一本、筆を置いて、ノートに書くような感覚で、気軽に書いてもいいんじゃないかなと思いましたね。

ショーのあとは、レッドカーペットで習字体験

ショーの終了後、ランウェイのレッドカーペットはそのまま習字体験会の会場に生まれ変わりました。カーペットの上に座卓と座布団が並び、通りがかった人も含めて、誰でも自由に参加できる形式に。11月2日の「習字の日」にちなんで、目標に掲げたのは112人。16時まで、入れ替わりながら多くの人が筆を手にしました。

参加者には、10代・20代の若い世代や、観光で訪れたとみられる海外の方が目立ち、渋谷らしい顔ぶれに。習字に触れるのは初めてという海外の方も多く、しばらく興味深そうに会場を眺めてから、参加を決める人もいました。


慣れない手つきで筆をとり、スマートフォンに書きたい文字を表示して、それを手本にしながら一画ずつ書き進めていく。書き上がると、うれしそうに半紙を掲げ、撮影スポットで記念写真を撮る姿も多く見られました。




渋谷から、次の「書く」へ
「覚悟がないと書けない」と思っていた書道を、「これでいいんだ」と感じながら書いたyurinasia。大人になってから向き合ってみると、こんなにも自由だったのかと気づける。その言葉は、この日の渋谷で見た光景とも重なります。

一見、遠いように思えたファッションと書道。けれど、白い衣装に墨が入ると、線の勢いはそのまま服の表情に。また習字体験会では、10代・20代の若い世代や、観光で訪れた海外の方が、初めての筆を楽しむ姿も。ステージでも、体験でも、書道は思っていた以上に、いろいろな人のコミュニケーションやなにかの入り口になる。そんな書道には、まだまだ知らない楽しみ方があるのかもしれません。

「Relight the Write」は、これからもさまざまな場所へ出向き、書くことの新しい価値を探していきます。最新情報は、公式Instagram(@relight_the_write)にて、チェックをお願いします。





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得られる教養と出会いは
一生ものの財産に。
日本習字は、日本の伝統文化である書道を
年齢・習熟度に応じた教材による学習機会の提供と、
全国約1万1千の習字教室への運営支援を通じて、
書を身近に感じながら学べる環境を提供しています。
全国に広がる学びのコミュニティは忙しい日常を整え、
自分自身と向き合える場でもあります。
初めての方も、再び筆をとりたい方も。
あなたのペースで始められる、豊かな学びがここから始まります。
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